Qi充電器は、ケーブルをデバイスに刺す必要がないという意味で非接触充電でしたが、デバイスとQi充電器は接触させておく必要があります(薄型のケースなどであれば充電が可能な場合もあります。)。
今回発表された1.2では、デバイスとQi充電器が直接触れなくても充電ができるようになります。
最大で、デバイスとQi充電器の間に4.5センチの障害物があっても充電ができるとのこと。
Qi1.2で取り入れられているのは、磁気共鳴方式というものです。
磁気共鳴とは、給電側(Qi充電器)のコイルに電流が流れることにより発生した磁場の振動が、同じ周波数で共振する受電側(デバイス)の共振回路に伝わる現象です。磁場の振動がQi充電器からデバイスに伝わり、電流が流れることで充電ができるようになります。
米マサチューセッツ工科大学が2007年に発表した論文では、磁気共鳴方式を使った送電の実験において、送電距離が2メートルの場合で40%、1メートルの場合には90%の伝送効率を得たとのことで、長距離でも伝送できることが大きな特徴です。
磁気共鳴方式によるワイヤレス充電は、2009年にスペインのバルセロナで開催されたMobile World Congress 2009でQualcommがデモ展示を行っていて、2~30cm離れていてもUSB充電と同等の5V、500mA程度程度の電力を、20~30cm浮かせた地点でも非接触で充電できる様子をデモンストレーションしています。
磁気共鳴による無接触充電が可能になったことで、1.2であれば、例えば机や車の中にQi充電器を埋め込み、その場所にデバイスを置けば充電が可能になるといったこともできるようになります。
一時期、日本のキャリアから発売されたAndroidデバイスの多くにQiのワイヤレス充電機能が搭載されていましたが、現在はほとんど搭載されていません。
逆に、Nexus4やNexus7(2013)、Nexus5にはQi充電機能が搭載されていたり、Android Wear搭載のスマートウォッチMoto 360やOneWatchはQi充電に対応しているとの情報もあります。世界的には徐々にQiによる充電機能が普及しつつあります。
Qi1.2搭載の商品は2015年に発売されるとのこと。私はNexus5とNexus7(2013)でQi充電を使っていますが、無接触充電は実際に使ってみると便利なので今後もどんどん普及してほしいですね。
source:WPC/ケータイWatch via:Liliputing