mineo(マイネオ)の「通信の最適化」実施状況と問題点まとめ

投稿日:2018-05-12 更新日:

mineo-apology-network-optimization1 2018年4月末頃から話題となり批判を受けていたmineoの「通信の最適化」について、mineoが公式コミュニティサイト「マイネ王」にて謝罪しました。

このページでは、mineoの通信の最適化の問題点について個人的な意見もふまえてまとめています。

通信の最適化とは?

mineoの問題の前に、まずは通信の最適化について触れておきます。

通信の最適化とは、通信事業者が通信速度などの品質を維持するためにアプリや画像、動画などのファイルのデータサイズを圧縮することです。

ファイルサイズを圧縮する具体的な例としては、画像や動画の画質を劣化させたり画像などに含まれるExif情報などのメタデータを削除するといったものです。

同様の圧縮処理はアプリでもなされることがあり、その結果アプリが正常に動作しないといった不具合につながる場合もあります。

上記の通り、通信の最適化で問題なのは非可逆圧縮のためファイル閲覧時などに圧縮前の状態に戻すことができない点です。例えば、高画質で撮影した写真や動画をウェブサイトで公開したものの、閲覧者が通信の最適化が行われるSIMでそのサイトを見た際に画質が劣化してしまったら、公開した人、閲覧した人ともに納得できません。

この画像は、通信の最適化が行われていないドコモと通信の最適化が行われているBIGLOBEモバイルで同じページを表示させた時の様子です。クリックして原寸サイズで赤枠内の画像を表示するとよく分かりますが、通信の最適化が行われることで画質は大きく劣化します。
network-optimization-comparison

また、Exif情報は個人情報の関係で消す人も多いとは思いますが、逆にその写真を撮影した日時などを記録しておきたい場合はそのまま残すこともあるかと思います。Exif情報は一度削除してしまうと、元のファイルが無い限りは確認することができません。

アプリについても深刻で、例えばゲームを有利に進めるためにゲームのデータを改ざんして本来とは異なる動きをさせる行為、いわゆる「チート」対策としてファイルの改変をチェックするアプリをプレイする場合、通信の最適化によって元のファイルではなくなってしまっているためチートしていなくてもアプリはチートと認識してアプリが起動しないといった弊害が実際に過去に起きています。


通信の最適化のもう1つの大きな問題は、通信の秘密を侵害していることになる可能性がある点です。

通信の最適化は、ファイルの種類など通信データの内容を把握した上で行われますが、「通信データの内容を把握」することが憲法で保護されている通信の秘密を侵害する恐れがあると指摘されています。


mineoの通信の最適化発覚~謝罪の経緯

次に、mineoの通信の最適化発覚から謝罪の経緯について見ていきます。

発覚は、こちらのツイートが発端のようです。


その後、多くのユーザーがmineoの通信の最適化を指摘しはじめ、大手メディアなどでも取り上げられる事態となりました。

そして2018年5月7日に、mineoはマイネ王にて通信の最適化についての説明と謝罪記事を公開しました。

通信の最適化に関する事前の情報公開未実施のお詫びについて | スタッフブログ | マイネ王

通信の最適化の実施内容について | スタッフブログ | マイネ王

記事によると、mineoは通信速度を改善するための施策として2018年4月10日から通信の最適化を実施しているとのことです。


mineoはデータの圧縮だけでなくSSL通信には帯域制限(通信制御)も実施

mineoは謝罪記事にて、ファイルのデータサイズを圧縮する通信の最適化とは別に、SSL通信には帯域制限(通信制御)していることも発表しました。

帯域制限(通信制御)とは、簡単に言えば通信速度を遅くしているということです。

SSL通信とは、例えば「https://」から始まるウェブサイトにアクセスした場合などで、「http://」から始まるウェブサイトにアクセスした際に比べて速度が遅いためページの表示にも時間がかかります。

実際に平日の12時台に当サイトでSSL通信と非SSL通信それぞれで速度を測定できるOpenSpeedTest(SSLのスピードテストはこちら/非SSLのスピードテストはこちら)で試してみたところ、SSL通信時はSSL通信でない時に比べてアップロードの速度は同じなのに対しダウンロードの速度は明らかに遅いことを確認しました。
mineo-12-network-optimization

背景には、SSL通信では通信の最適化でファイルのデータサイズを圧縮することができないので、その代替手段としてSSL通信時は速度制限することでmineo全体の通信速度の維持を図っています。

まとめると、mineoは現在非SSL通信については画像などのデータサイズを圧縮する通信の最適化を行い劣化した画像が表示され、SSL通信には帯域制限で速度が出ないようにしています。


通信の最適化が適用されるファイル

mineoで、通信の最適化が適用されるのは以下のファイルです。

・文書データ
文書データを劣化させずに圧縮

・静止画
JPEG、PNG、GIF画像を見た目を大きく損なわない程度と考えられるレベルで圧縮


通信の最適化(SSL通信への帯域制限も含む)が実施される時間帯

mineoで通信の最適化が実施される時間帯は以下の通りです。

なお、この時間帯はSSL通信への帯域制限も実施されます。

・平日
7時30分~8時30分
12時~13時
18時~19時


・土日
通信の最適化は実施しない


mineoの通信の最適化実施の問題点

多くの批判を浴びている、mineoが実施した通信の最適化の問題点は以下の通りです。


事前にユーザーに告知することなく通信の最適化を開始した

通信の最適化は数年前にソフトバンクが最初に実施し、その後au、ドコモも続いて実施しています。

大きな問題として取り上げられたのが2015年で、あるゲームアプリでソフトバンクのSIMを挿した端末でのみエラーが発生してゲームデータをダウンロードできずプレイできないトラブルが起きました。

また、通信の最適化は初めでも触れたとおり画像や動画の画質が劣化するなどのデメリットがあるため、好意的に受け止められることが少ないのが現状です。

mineoも通信事業者として、通信の最適化がネガティブな側面の強いデリケートな問題と認識していたはずですが、それにも関わらず事前にユーザーに通信の最適化実施を告知することなく開始しました。

mineoはブランドステートメントとして「Fun with Fans!」を掲げ、ユーザーと共に「便利で、楽しくて、面白く」を創ると宣言していますが、それとは正反対のイメージの通信の最適化をともにサービスを作り上げていくはずのユーザーに知らせずに実施したことで、多くのmineoユーザーを失望させることになってしまいました。

マイネ王のコメントを見ると、mineoとユーザーの間にあった信頼関係が今回の一件で崩れたという意見が多く、事態は思った以上に深刻に感じます。


通信の最適化開始に際して十分な説明に基づく個別かつ明確な同意を得ていない

通信の最適化は、通信事業者(mineo)がユーザーの通信の内容を把握することになるため通信の秘密を侵害する可能性があるのは前述のとおりです。

ただ、通信の秘密は絶対に侵害してはいけないわけではなく、明確な理由や目的があればユーザーの同意を得ることで許される場合もあります。

マイネ王の謝罪記事によると、mineoの通信の最適化は通信速度の低下を防ぐための施策として行われているとのことで明確な理由はありますが、ユーザーの同意が得られていないのが問題です。

JAIPA(日本インターネットプロバイダー協会)と電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本ケーブルテレビ連盟、MVNO 協議会が策定・公開している「帯域制御の運用基準に関するガイドライン」には、以下の通り記載されています。

帯域制御の実施は「通信の秘密」に対する侵害行為に該当するため、一般的には、通信当事者の「個別」かつ「明確」な同意がない限り、かかる制御を実施することは許されない。
この点に関して、単に契約約款に帯域制御を同意する旨の規定を設けておくだけであったり、ホームページ上で周知しているといっただけでは、当事者の「個別」かつ「明確」な同意があったと見なすことはできないことに注意する必要がある。
かかる同意があったと見なすためには、例えば、新規のユーザに対しては契約の際に帯域制御に同意する旨の項目を契約書に設けて明示的に確認すること、既存のユーザに対しては個別にメールを送信して帯域制御に同意する旨の返信をもらうことといった方法が考えられる。


ガイドラインでは、通信の秘密を侵害する行為に該当する場合は契約約款やウェブサイト上で周知するだけではユーザーの個別かつ明確な同意があったとみなすことはできず、契約書や個別のメールで明確な同意を得るなどの手順を取るべきとのこと。

mineoの通信の最適化については、契約約款に記載されているだけで契約にあたって最適化実施の同意が明確に得られる状況ではなく、ガイドラインに反しています。


通信の最適化の有効化/無効化をユーザーが選べない。強制的に有効になる

mineoの通信の最適化の最後の問題は、最適化の有効化/無効化をユーザーが任意で選ぶことができない点です。

実はmineoだけでなく他の格安SIMでも通信の最適化は実施されています。

通信の最適化を行っている主要な格安SIMの中では、BIGLOBEモバイルとnuroモバイル、楽天モバイルが挙げられますが、この中ではBIGLOBEモバイルが専用のAPNを設定することで通信の最適化のオン/オフを選べます。
BIGLOBE SIMで通信の最適化を無効化(解除)する方法。

nuroモバイルは、2017年9月30日以前に契約している場合はサポートデスクへの連絡で通信の最適化を解除できますが、2017年10月1日以降に契約した分は解除できません。

mineoと楽天モバイルに関しては、全てのユーザーが通信の最適化の解除が不可となっています。


せめてBIGLOBEモバイルのようにユーザーが自由に解除できるようにできればまだ不満は減るのでしょうが、mineoの契約者全員が強制的に通信の最適化を実施されてしまうのでさらに批判が高まっています。


【追記】mineoは通信の最適化の解除も準備する方向で検討

現時点では、mineoでは通信の最適化の解除はできませんが、mineoのサポートによると最適化の適用除外(解除)を準備する方向で検討しているとのことです。


今後の進展に期待ですね。


非SSL通信時は画像を圧縮し、SSL通信時は速度を制限しているので常に何かしらの制限がある

先ほども触れたとおり、現状のmineoでは非SSL通信時は通信の最適化で画像を圧縮することで通信速度が落ちないようにしていて、通信の最適化ができないSSL通信時は速度を制限してmineoユーザーの通信速度が遅くならないようにしているのが現状です。

つまり、mineoを契約している限りは常に何かしらの制限が課されているということです。

特に通信の最適化だけでなく、世界的にウェブサイトのSSL化が進む流れの中であえてSSL通信の速度を制限することでmineoでは快適なインターネット体験ができないのは、残念としか言いようがありません。


まとめ

mineoの通信の最適化はその実施自体にも疑問を抱かざるを得ませんが、それ以上に謝罪記事の中にもある通りmineoのブランドステートメント「Fun with Fans!」を掲げて情報公開を積極的にしていくmineoの企業姿勢を全面に押し出している中で、評判の良くない通信の最適化の実施(SSL通信時の帯域制限も含む)をユーザーに知らせることなくいきなり始めてしまったのが最大の失敗だったと感じています。

また通信の最適化をユーザーが自由に解除できないのも、ブランドステートメントとは矛盾する動きに見えて正直残念です。

通信の最適化のユーザーから個別かつ明確な同意を得る点に関しては、法律ではなくガイドラインで決められているだけで拘束力は弱いのは分かりますが、mineoの理想の通りユーザーに楽しく利用してもらうには通信の最適化についてユーザーにしっかりと理解してもらった上で同意を得る必要があると思います。

mineoからは、さっそく通信の最適化の解除の選択も含めた改善策の検討への言及もありましたが、今後さらなる具体的な行動に期待したいところです。

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