格安SIM MVNO 格安スマホの通信速度比較。速いのは?-体感速度動画あり-【2018年9月3日実測】
この速度比較ではYouTubeの再生テストも動画に記録して公開していますが、約30秒という限られた時間でのみ再生しているため途中で止まったりしないか、動画の最後まで快適に視聴できるかを確認することができません。
そこでこのページでは、毎月の速度比較の補足という形でいつもより少し長い3分ほどのYouTube動画をどの格安SIM(MVNO)なら快適に視聴できるのか、もしくは快適に視聴できないのかを比較しています。
24台のZenFone 2 Laserを使って実際にYouTubeを再生している様子を動画に記録していて、この動画をチェックすることでYouTubeがきちんと再生できるのかどうかを直感的に把握することができると思います。
格安SIMでもYouTubeを視聴したい場合は参考にしてみてください。
YouTubeテストを実施したもう1つの理由
YouTubeのテストを実施した大きな理由は初めに触れた通り毎月の速度比較の補足ですが、このタイミングになった理由はITmediaです。先日、ITmediaが格安SIMのYouTube再生テストを実施した記事を公開しました。
混雑時にYouTubeを快適に視聴できる格安SIMは? 12サービスを比較(4月編) (1/2) - ITmedia Mobile
測定方法は、平日の12時20分から端末2台で格安SIM12枚を入れ替えながらテストするというものです。
これまで、ITmediaはスピードテストの結果のみで格安SIMの速度の速い・遅いを判断し、FREETELなどでスピードテストと体感速度に大きな差がある(実際は体感速度が遅い)と一部のユーザーやサイトが指摘しても同じ方法で記事を公開し続けてきました。
そして、偶然にもFREETELが消費者庁から通信速度などに関して措置命令を受けた2日後にスピードテストとは別でYouTubeの体感速度に関するテストを公開(テスト自体はFREETELへの措置命令よりも前に実施)し、FREETELの速度が実際は遅いことが露呈した形です。
結果など詳細はITmediaの記事を見ていただければと思いますが、私が見た限りでは以下の点が気になりました。
・端末が2台でSIMを入れ替える必要があり、12枚のSIMを同時に測定できないためテストした時間にばらつきがありすぎる
・結果がテキストのみで記載されているので読者はITmediaが実際にYouTubeを再生している様子を確認することができず、本当に結果が正しいのか分からない
ITmediaは日本でも有数の大手メディアなので結果を改ざんして読者を騙すようなことはまずないと思いますが、分かりづらく不透明な部分があるのは事実です。
個人的には、当サイトの速度比較でいつもやっているように1枚の格安SIMに1台の端末を用意して全部まとめてYouTubeを再生した方が分かりやすいのではと感じたので、今回のテストをしてみることにしました。
テスト環境
今回使用した格安SIM一覧とYouTube再生テストの環境は以下の通りです。測定SIM | 【docomo回線】 ・docomo ・0 SIM ・BIGLOBE ・b-mobile ・DMM mobile ・DTI SIM ・FREETEL ・IIJmio(タイプD) ・LINEモバイル ・mineo(Dプラン) ・NifMo ・nuroモバイル ・OCNモバイルONE ・U-mobile ・イオンモバイル(タイプ1) ・イオンモバイル(タイプ2) ・エキサイトモバイル ・楽天モバイル 新回線(rmobile.jp) ・楽天モバイル 新新回線(rmobile.co) ・ロケットモバイル 【au回線】 ・IIJmio(タイプA) ・mineo(Aプラン) ・UQ mobile 【ソフトバンク回線】 ・U-mobile S |
測定アプリ (体感速度) | ・YouTube(画質は360pで計測) テストで利用する動画は新型Nexus 7 (2013)をテレビ出力してみた-SlimPort HDTV Cable SP1101を使用- - YouTube ※1 12時台は画質設定から720pを選んでも360p以上にはならなかった(SIMによっては144pにしかならない) ※2 YouTubeアプリは通信速度が低下すると動画の画質を自動的に下げる仕様となっているため、常に360pで再生されるとは限らない |
測定端末 | ASUS ZenFone 2 Laser 24台 |
測定日時 | 2017年4月26日 (水曜日) ・12:20~ |
測定場所 | 熊本県熊本市 |
動画再生前の準備は以下の手順で行っています。
1.24台のYouTubeアプリを起動してテストで使用する動画を再生し、画質を360pに変更
2.全ての端末の画質を360pに変更後に動画を終了させ、視聴履歴から削除(削除しないとテスト本番で動画を再生した際に終了した時点(途中)から動画が再生されてしまうため)
3.アプリ設定からキャッシュを削除(テスト本番でキャッシュからの再生でなく再度動画をダウンロードしてストリーミングで再生させるため)
4.YouTubeで動画を再生
5.スピードテストアプリで速度を測定(スピードテストブースト有無のチェックのため)
2.全ての端末の画質を360pに変更後に動画を終了させ、視聴履歴から削除(削除しないとテスト本番で動画を再生した際に終了した時点(途中)から動画が再生されてしまうため)
3.アプリ設定からキャッシュを削除(テスト本番でキャッシュからの再生でなく再度動画をダウンロードしてストリーミングで再生させるため)
4.YouTubeで動画を再生
5.スピードテストアプリで速度を測定(スピードテストブースト有無のチェックのため)
「測定アプリ」の項目で触れている通り、今回の測定では12時台にYouTubeアプリで画質設定から720pを選んでも360p以上では再生されませんでした。
また、現在のYouTubeアプリはSIMの通信速度が遅くなると画質を自動的に下げて途中で止まらずに視聴できるような仕組みになっています。
そのため、全ての端末のYouTube画質を事前に360pに設定しても、動画が再生された後に画質が144pになることもあります。
動画再生中に144pから360pに変更しても再度自動で低画質になることもあるため、厳密に360pでは再生できない点はご了承ください。
ちなみに、ITmediaのテストでは常に720pに固定して動画を再生できているようなので、どのような設定で行ったのか尋ねてみます。
YouTubeテストと検証
YouTubeテストを記録した動画はこちらです。SIM名の下の数字はスピードテストアプリの測定結果です。スピードテストは1回実施しています。
まず、楽天モバイルの新新回線は再生がうまくできておらず、後からの再生となっています。ご了承ください。
動画再生ボタンを押して再生が始まるまでにかかる時間を比較すると、BIGLOBE SIM、FREETEL、イオンモバイルのタイプ2が遅いです。
再生開始後(ストリーミング開始後)の状況を比較すると、IIJmioのタイプD、楽天モバイルの新回線が読み込み中になりしばらく動画が止まっています。
その後はb-mobileが一瞬読み込み中になりますが、気になるほどではありません。
0 SIMとBIGLOBE SIMの画質が自動的に360p未満になっていたので、360pに変更したところほぼ同じタイミングで読み込み中になり、しばらく動画が止まっています。特に0 SIMで360pの動画を視聴するのはかなり厳しいです(0 SIMで高画質な動画を視聴する人はほとんどいないとは思いますが)。
イオンモバイルのタイプ1も途中で動画が止まっていますね。
その後も、0 SIMとb-mobileで読み込み中になっています。
ここではb-mobileとBIGLOBE SIM。
2分前後あたりからは、0 SIMは動画をまともに再生できない状況になっています。
また、FREETELの画質が144pに落ちていたので360pに変更したところ読み込み中の時間が長くなり、なかなか再生されない状況が続きました。b-mobileはここでも読み込み中になっています。
動画の最後では、0 SIMとBIGLOBE SIM、b-mobile、FREETELが途中で止まってしまっています。
今回テストしたのは3分程度の動画ですが、これだけでも大体の傾向がつかめました。
YouTube視聴目的で選ばない方がいい格安SIMと選んでも問題ない格安SIM
24枚のうち、多くの格安SIMでは通信速度が最も低下する平日の12時台でも、YouTubeの動画はそこそこスムーズに再生されます。逆に一部の格安SIMの中には快適に視聴できるとは言えないものもあります。
結論として、現時点でYouTube視聴に向かない、選ばない方がいい格安SIMは以下の4社です。
・0 SIM
・BIGLOBE SIM
・b-mobile
・FREETEL
まず、0 SIMは動画視聴には全く向きません。
基本的に0 SIMは月額料金がかからない500MB未満で済ませることが前提で使う人が大多数で、動画視聴することはほぼないと思います。
ですが、ここまで遅いと動画だけでなくブラウザやSNSの画像表示にもかなり時間がかかる状況なので、0 SIMではほぼまともに通信できないと思っておいたほうがいいでしょう。
BIGLOBE SIMに関しても、特に混雑する平日12時台にYouTubeを視聴するのは厳しいです。
144pの低画質ならそこそこスムーズに再生できると思いますが、360pは再生中に度々動画が止まって読み込み中になるので快適に視聴できるとは言えません。
BIGLOBE SIMは、6GB以上のプランで申し込みできるYouTubeなどが見放題のエンタメフリーオプションというサービスがあります。
ですが今回のテスト結果を見る限りでは、YouTube見放題といっても自宅の光回線などのように高画質でスムーズな動画再生はできないと思っておいたほうがいいです。
b-mobileに関しては、このテストで使っているのは使った分だけ支払うおかわりSIMですが、0 SIMよりは良いもののBIGLOBE SIMよりは動画が途中で止まる頻度が高いです。
おかわりSIMも混雑時は動画は視聴できないという認識でいたほうがいいと思います。
FREETELは、スピードテスト結果と体感速度が全くリンクしないことは以前から当サイトでも指摘してきましたが、このYouTubeの動画再生テストでもスピードテスト上は3Mbps以上出ているにもかかわらず、いざ動画を再生すると144pで再生され画質を360p上げると動画は全くスムーズに再生されずしょっちゅう止まる状況です。
FREETELは公式サイトにて業界最速の通信速度と記載していましたが、今回の動画を見れば一目瞭然で業界最速ではないので注意しましょう。
また初めの方でも触れましたが、業界最速の裏付けとしてFREETELが提出した資料に合理的な根拠が認められなかったなどとして、2017年4月21日に消費者庁からFREETELに対して措置命令が下りました。
これに対して、FREETELは2017年5月から毎週回線増強を実施することと、4月にも2回の増強を実施済みと発表しました。
ところが、今回のYouTubeテストはFREETELの4月2回目の回線増強後に実施しているもののすでに体感速度は遅いです。
現時点のFREETELは、速度の速い遅いの前に通信事業者として信用できません。
FREETELを検討している場合は、今後しっかり改善されるまで契約は待って様子見することをおすすめします。
動画再生時に少し時間がかかったイオンモバイルのタイプ2と再生中に一度止まったIIJmioのタイプDとイオンモバイルのタイプ1、楽天モバイルの新回線は、それ以外では再読み込みすることなく最後まで再生しました。
これらのSIMは常にスムーズに動画再生できるとは限らないものの、0 SIMやBIGLOBE SIM、b-mobile、FREETELに比べれば特にストレスなくYouTubeを視聴できるでしょう。
0 SIM、BIGLOBE SIM、b-mobile、FREETEL、IIJmioのタイプD、イオンモバイルのタイプ1とタイプ2以外の格安SIMは、今回のテストでは画質が360pなら平日の昼間でもYouTubeはスムーズに再生されるので、どれを選んでも特に問題はないと思います。
まとめ
MVNO事業者がアプリによって通信速度を制限する、いわゆるスピードテストブーストをしなければこのようなテスト自体が不要なのですが、残念ながら現時点でもFREETELのようなブーストが存在するのが現実です。また、格安SIMは平日の12時台の速度が大幅に落ちるのも大手キャリアにはない特徴で、スピードテストブースト関係なく単純に遅すぎて動画がスムーズに再生されないこともよくあります。
格安SIMでYouTubeを快適に視聴したい場合は、スピードテストブーストと通信速度自体の遅さの2点に気をつけながら格安SIMを選ぶ必要があります。
今回は24台のZenFone 2 LaserでYouTubeの動画をほぼ同時に再生してスピードテストアプリによる測定もするという単純な方法で比較することで、上記2点を把握しました。
体感速度については、いつも動画を見るときと同じように動画を再生しているのでYouTubeの再生に適した格安SIM・適していない格安SIMが判断しやすいのではないかと思います。
格安SIMでYouTubeを利用したい人は、一つの例として参考にしてみてください。
また、他にももっと分かりやすいやり方などがあるといったアイデアをお持ちの場合は、次回以降の測定方法に加えるか検討させていただくのでぜひご指摘ください。
格安SIMのYouTubeテスト結果は以上です。
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